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  • 2025/05/19 掲載

TikTokに勝てない領域がある?グリーの鬼才・荒木氏の「時代を読む力」が凄いワケ

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グリーホールディングス 取締役 上級執行役員である荒木 英士氏は、同社の革新的な新規事業の開発をリードし続けるヒットメーカーだ。最近彼が手掛けたスマートフォン向けメタバース『REALITY』は、海外、特に米国で成功を収め、コロナ禍を契機に急成長した。こうした、時代の流れを読んだ荒木氏の新サービス開発の背景には、スマホシフトに乗り遅れ、成長速度を落としたグリーの過去の教訓があるという。今後のグリーの成長に欠かせないキープレイヤーである荒木氏に、メタバース業界の最新動向から、この業界の勝敗を分けるポイントを解説してもらった。
聞き手・執筆:エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山 淳雄

エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役 中山 淳雄

東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。

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グリーホールディングス
取締役 上級執行役員
荒木 英士 氏

グリーの大ブレイクした「新サービス開発」の裏側

――ブラウザゲームからアプリゲーム開発に移行し、2017年に再浮上を果たしたグリーですが、そんな中、荒木さんはいち早くVRやライブ配信といった「新規事業」に挑戦しています。

荒木氏:たとえば、VRゲーム『サラと毒蛇の王冠』(2015年9月、東京ゲームショウ向け)や、スマホ向けVRゲームの『シドニーとあやつり王の墓』(2015年11月)ですよね。

1ページ目を1分でまとめた動画
 これらのプロジェクトは小規模なサイドプロジェクトとしてやっていたものです。我々は会社としてすでにトラウマがあるじゃないですか、“スマホシフトに乗り遅れた”、という。だから新しいプラットフォームが来たら、やっぱり最初にやらなきゃという気持ちがあったんです。

 VRヘッドセットの『Oculus Rift』(Meta)とか『PlayStation VR』(ソニー)が発売され、VR元年になったのが2016年ですけど、その前年にはもうデベロッパーキットが組まれていたので、VR・ARコンテンツ開発を行う組織を2015年に設立して、この領域に手をつけはじめました。

――まだアプリ化の成功前だったのに早かったですよね。自前リスクで立ち上げですか?

荒木氏:この頃には僕も多少大人になったので(笑)、市場として立ち上がるのにはまだ時間がかかるだろうと考え、小規模なチームで受託・協業を組み合わせながら開発経験を積むという進め方をしてました。

 協業プロジェクトではスクウェア・エニックスさんやバンダイナムコさんと連携し、VRゲームの開発を行っていました。

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大ブレイクしたグリーの新サービス『REALITY』はどう誕生したのかを解説する、ヒットメーカー荒木氏

――そうした中で、スマートフォン1台で自分好みのアバターが作れ、ライブ配信ができる『REALITY』が2018年8月にスタートします。これは、どのような構想をもとに進めたんですか?

荒木氏:当時のことはよく覚えてますが、2017年の12月にVTuberブームが爆発するんです。VTuber四天王と言われたキズナアイ、電脳少女シロ、ミライアカリ、ねこます、輝夜月などがブレイクした時代です。当然、僕もそういう新しいカルチャー好きなので見ていて、当時のカバーさんにもVTuberライブ配信の現場を見せてもらったりして、「これは新しい時代が来る!」と思ったんです。グリーとしてもVRでずっとやってきたこととも地続き感があるし。

 最初の時点でサービスのコンセプトは、「VTuberが民主化する」というものでした。当時のVTuberって、モーションキャプチャー設備やハイスペックPC、VRハードウェアなんかを組み合わせていて、一般ユーザーには難しいものばかりでした。

 でも技術的に要素分解していくと、スマホでフェイシャルキャプチャーもできるし、3Dアバターも動かせるし、音声や動画をストリーミングすることもできるから、「すこし経てば、誰もが自宅からスマホだけでアバターライブ配信ができる時代になるだろう」と考えたわけです。

 しかも僕たちは2007年からずっとGREEでアバターサービスを提供し続けているわけだから、ビジネスモデルもノウハウも良く理解している。そして2017年の年末に事業構想メモを作り、経営陣と事業立ち上げの意思決定を行い、2018年春に『REALITY』の開発チームを立ち上げ、WFSは現在コインチェックの取締役 社長執行役員を務める井坂 友之さんに副社長を任せて、2018年夏にローンチしました。立ち上げ初期からユーザーが伸び始めていましたが、それが大爆発したのがコロナ期ですね。

なぜ「米国市場」でバズった?意外なユーザー属性とは

――2021~2022年のコロナ期で『REALITY』は大ブレイクし、2022年10月には全世界累計1,000万ダウンロードを達成しました。驚いたのはユーザーの海外比率が約8割、米国で火が付いたことです。

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