- 会員限定
- 2022/12/26 掲載
『平成仮面ライダー』シリーズで一番稼いだのは? 売上急増させた2つの「変身」
連載:キャラクター経済圏~永続するコンテンツはどう誕生するのか(第7回)
東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。

人気が落ちない『仮面ライダー』の特殊性
1971年に生まれた仮面ライダーは、主人公の本郷猛(主演:藤岡弘)が、世界征服をたくらむ悪の秘密結社ショッカーに捕らえられ改造手術を受けてしまうところから始まる。しかし、大脳を改造されてしまう前に奇跡的に救われたことで、正義の心を残しながら、改造によって手に入れた怪人と同種の力で悪と戦うことになる、といったストーリーである。仮面ライダーの「サイボーグとしての自身に苦悩する」というテーマは、都市化・工業社会化が進む中、公害や自然破壊、人間の部品化といった「科学の力」がもたらすダークサイドに人々が気づきはじめた社会背景が関係している。また、悪をもって悪を制する矛盾と葛藤の中に生きる「ダークヒーローの原型」とも言える。
もともとこのテーマは、米ソ冷戦やベトナム戦争に影響を受けた漫画家・石ノ森章太郎氏が『サイボーグ009』(1964)から登用してきたテーマであり、それは石ノ森氏のアシスタントだった永井豪氏の作品『デビルマン』(1972)にも引き継がれ、『寄生獣』(1988)、『ベルセルク』(1989)、『ARMS』(1997)、『進撃の巨人』(2009)へと発展していく。
東映は、この石ノ森氏の才能にテレビ映像の原作をも託し、現在に至るまで50年以上にわたって原作者としてクレジットされ続けている。
そんな仮面ライダーは、現在も人気は衰えることのないコンテンツとなっている。たとえば、あるキーワードがGoogle上でどれだけ検索されているのかを確認できる「Googleトレンド」の推移を見ると、仮面ライダーは、検索ボリュームにおいて「プリキュア」「ウルトラマン」「スーパー戦隊」などのシリーズ抜かれたことがない。

なお、仮面ライダーの競合コンテンツとなる「スーパー戦隊シリーズ」は、主人公が1体しかいない仮面ライダーの構成を上位互換で改良して作られたIPだ。1990年代には仮面ライダーの倍以上の売上を誇り、北米でも空前のヒットを記録した作品である。
この時期、スーパー戦隊シリーズの影に隠れ、仮面ライダーの人気は大きく低迷することになる。しかし、2000年代に奇跡の復活を遂げ、その後20年以上にわたり、バンダイの超主力コンテンツである「機動戦士ガンダム」と肩を並べるほどの玩具売上を築き続けるようになるのだ。
一度は「スーパー戦隊シリーズ」に抜かれ低迷した仮面ライダーは、どのように復活を遂げ、バンダイの超主力コンテンツの地位まで上り詰めたのか。

作品が評価される理由、“感動”を生み出す装置とは?
仮面ライダーの成功は、ヒーローとしての描き方と同時に、「特撮」という撮影技術によるところが大きい。SFX(特殊効果)やVFX(撮影後の視覚効果、1990年代以降に一般化)、CG(コンピューターグラフィック)と混同もされることもあるが、「特撮」自体は東宝の監督として『ゴジラ』(1954)や『ウルトラマン』(1966)を生み出した円谷英二氏による造語である。
今すぐビジネス+IT会員に
ご登録ください。
すべて無料!今日から使える、
仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
デザイン経営・ブランド・PRのおすすめコンテンツ
デザイン経営・ブランド・PRの関連コンテンツ
PR
PR
PR